2013年12月21日土曜日

鎌ケ谷で見られる木本(7) ヤブコウジ

この時期、ヤブコウジの赤い実が さまざまなところで見られます。

ヤブコウジ 2013.11.27 鎌ケ谷市・中沢の谷津にて撮影

ヤブコウジ (藪柑子、学名  Ardisia japonica (Thunb.) Blume)は、ヤブコウジ科ヤブコウジ属の常緑小低木です。
別名、十両(ジュウリョウ)と呼ばれます。

ちなみに、別名を加えると、「万両」から「一両」までの名前が付いた植物がそろっています。

マンリョウ (万両、学名  Ardisia crenata
センリョウ (千両、学名  Chloranthus glaber
カラタチバナ(唐橘、学名  Ardisia crispa)    別名 ヒャクリョウ(百両)
ヤブコウジ(藪柑子、学名  Ardisia japonica)   別名 ジュウリョウ(十両)
アリドオシ (蟻通し、学名  Damnacanthus indicus)別名 イチリョウ   (一両)

赤い実が美しいこれら5種の植物ですが、このうちの3種をヤブコウジ科ヤブコウジ属(Ardisia)が占めているのはさすがです。
マンリョウとセンリョウは、庭に植えられていることが多いので よく見かけます。

「万両」 マンリョウ 2013.12.01 近所のお宅の庭で撮影


「千両」 センリョウ 2013.12.01 近所のお宅の庭で撮影


「百両」 カラタチバナ 2014.01.11 鎌ケ谷市内にて撮影


「十両」 ヤブコウジ 2013.12.07 市川市・大町公園にて撮影

センリョウ(センリョウ科センリョウ属)と比べてみると、ヤブコウジ科ヤブコウジ属の植物の実は、深紅に近い色合いに見えます。
 
「センリョウ」という名前についてですが、もともと「仙蓼」(センリョウ)という字を当てられていたものが、江戸時代の後期になってから 縁起を担いで マンリョウ(万両)に対応させ「千両」となったもののようです。
別名で付いている「百両」「十両」「一両」も、同じように縁起担ぎで名付けられたものでしょう。

なお 小学館『日本大百科全書』には、ヤブコウジについて以下の記述があり、参考になります。

・かつて男子5歳、女子4歳になると、髪の先を肩あたりで切りそろえる髪削(かみそぎ)の儀式が行われ、ヤブコウジを髪に挿した。
  参考サイト ➜ 髪削(かみそぎ): 源氏物語

・正月などに松竹梅と組み合わせてヤブコウジを飾る風習は江戸時代から記録に残る。

・明治中期には園芸品種が大流行し、投機の対象とされ、新潟県は県令で売買を禁じた。



追 記 2015.06.16

庭に植えたヤブコウジの花が咲いていました。
このヤブコウジは、昨 2014年3月22日、粟野地区公園の開園式でいただいたものです。

植えたのは1株でしたが、3株に増えました


葉の下に白い花が咲いています


花は下向きについています 実も下向きにつきます


花の下から撮った写真


夕方に見たら、花が みな散ってしまっていました。
花びらを拾い集め、クローズアップ撮影してみました。

雌蕊の部分がすっぽりと抜けて、花冠には5本の雄蕊が残っています