2018年5月5日土曜日


鎌ケ谷の大師堂(19) 2018年 東葛印旛大師巡拝(送り大師)

  結願区 藤心地区 宗寿寺(柏市・藤心)

2018年の「准四国八十八ヶ所 東葛印旛大師巡拝」(送り大師) は、例年どおり 5月1日から5日の5日間にわたって行われました。

その最終日である 5月5日(土・祝)には、柏市藤心ふじごころにある 安養山・宗寿寺(真言宗豊山派)で結願が行われました。

宗寿寺(左端) と その近辺の地図
赤線は 練り込み行列のコース
国土地理院の電子国土Webシステムから配信されたものを利用

上の地図の中ほどを 南から北に向かって流れる大津川は、かつての柏市と沼南町を隔てる境となっていました。
両者が合併する前は、大津川の西側が柏市、東側が沼南町でした。
藤心は大津川のすぐ西側にあり、沼南町が合併する前から柏市に属していました (古くは土村の一地区)

大津川 芦川橋から 上流(南)に向かって見たところ

なお、地図の右手、「神明社しんめいしゃ」と縦書きで大きく書かれた場所には、塚崎神明社があり、その周囲には 沼南の森市民緑地が広がっています。

また、地図の右下には「馬洗戸」と書かれている場所がありますが、「まあらいど」と読むようです。
「馬洗戸」という名が付いたバス停が船取線沿いにあるので、東武バスの沼南営業所に電話して聞いてみたところ、同じ読み方とのことでした。

馬洗戸にある高柳山・善龍寺は、高柳城址に建てられているとのことです。
きっとこの近くに 軍馬を洗うところがあったのでしょう。


(1) 慈 本 寺


慈本寺から宗寿寺に向けて練り込みが行われると聞いていたので、出発の時刻だという11:00に行ってみました。

たどり着いてみると、もう出発した後でした

近くにいた方におききしたら、暑いので出発を早めたのではないかとのことでした。

駐車場のフェンス沿いに並んでから出発したようです

フェンスに張られた紙を見て、練り込み行列の順番がよく分かりました。
以下の順でした。

① 露払い → ② 吹螺師すい ら し → ③ 大世話人 → ④ 顧 問 → ⑤ 万灯まんどう一号 →
⑥ 稚 児 → ⑦ 万灯二号 → ⑧ 旗持ち → ⑨ 僧 侶 → ⑩ 先 達 →
⑪ 吹螺師 → 【 ⑫ 大師厨子 】 → ⑬ 本部役員 → ⑭ 各地区役員 →
⑮ 次期結願区 → ⑯ 各地区組合員

以下のサイトには、練り込み行列の写真が掲載されています。

➜  雨曇子日記 結願の日


慈本寺山門 右に「曹洞宗  藤心山」、左に「延命院  慈本寺」とあります
右前は「不許葷酒入山門」(葷酒、山門に入るを許さず)の戒壇石 

慈本寺の境内に立ち寄りました。

慈本寺 本堂


東葛印旛大師 第9番札所の大師堂


本家 正覚山・法輪寺の御詠歌が書かれた扁額



(2) 宗 寿 寺


宗寿寺に着いたときには、すでに結願式が始まっていました。

境内は、講員(大師組合員)の方々でいっぱい


多くの方の挨拶がありました


結願式の次第


大塔婆も除幕されていました


五色の縷で 大塔婆から厨子の大師像につながっています

講員の被っている笠に目がいきました

に書かれている言葉を調べてみました。

「迷故三界城」(迷うが故に三界は城なり)
「悟故十方空」(悟るが故に十方は空なり)
「本来無東西」(本来東も西もなし)
「何処有南北」(いずこにか南北あらん)

これらの言葉の出典については、図書館レファレンスにありました。

正面には、弘法大師を表す 種字यु 」 。
この文字は 梵字であり、弥勒菩薩を示します。

弥勒(マイトレーヤ)は、未来に下界に降って仏となり(未来仏)、衆生を救うとされる菩薩だそうです。
出現は釈尊の入滅から56億7千年後とのこと。

種字の反対側(後ろ側)には「同行二人どうぎょうににん(いつも弘法大師がともにいる)とあります。

どの講員の方も、種字が正面にくるように笠を被っていました。


11時20分頃に 結願式は終わりました

結願式のあと、境内の大師堂に立ち寄りました。

東葛印旛大師 第78番札所の大師堂


御詠歌の扁額を 撮影し忘れてしまいました

大師堂を撮った写真をよく見てみると、上の方に懸かっている扁額の文字が なんとか読み取れました。
左右どちらの扁額も 御詠歌は同じようです。
中身は、本家 第78番札所 仏光山・郷照寺の御詠歌です。

右の扁額には、以下のように書かれています。

第七十八番 藤心 宗壽寺
      讃州 道塲寺冩

をどりはね       踊り跳ね  
  ねんぶつ        念仏
    となう        唱う
  登゛うじやうじ        道場寺
ひやうしを       拍子を
     そろへ       そろえ
  かねを        鉦を
    うつなり       打つなり

讃州さんしゅう」とは、讃岐国さぬきのくに(ほぼ 現在の香川県)のこと。
「道場寺」は、17世紀半ばに郷照寺へと改称する以前の寺号。
郷照寺は、真言宗と時宗の二宗派が共存しているそうです。
時宗を広めた一遍上人が帰郷し、踊り念仏の修行道場として中興したとのこと。
御詠歌は、踊り念仏の特徴を列挙した形で構成されています。


珍しい字体の石塔 活字体です
最上部には 弘法大師をあらわす 種字 यु (ユ)


文化4年(1807)の建立

上の石碑には、「皇和 文化四年 歳次丁卯六月良烏」と刻まれています。
これらの言葉の意味がよく分からないので調べてみました。

「皇和」や「歳次」が使われている他の例をネットで見ました。
「皇和」は「皇和通暦」と関係あるのでしょうか。
調べても、よく分かりませんでした。

歳次」はネットで分かりやすく説明されていました。。

「良烏」については、ネットがアテにならないので、『全訳 漢字海』(三省堂 2004)で調べました。
「烏」には「太陽」(「日」と同じ)という意味があるようです。
すると、「良烏」は 「吉日」と同じ意味でしょうか。


(3) 道 祖 神


慈本寺の参道入口前、道路の反対側に 二つの石祠が祀られていました。

以下のサイトにより、これらが道祖神だと知りました。

➜  石仏神心 112 北総石仏 柏の石仏 藤心地区

小さな鳥居が建っています


どちらも道祖神だそうです


左側の道祖神には、履物が奉納されています
石祠には、うっすらと「道祖神」と刻まれています


*   *   *


来年の結願式は、柏市・名戸ケ谷の法林寺で行われるそうです。
法林寺は、PAZ新柏(ヨークマート)のすぐ近くです。
南東には、500mほど行ったところに 増尾城址総合公園があります。