2018年8月23日木曜日

沼南散策(8) 染井入落そめいいりおとし (柏市)

染井入落 と その周辺
国土地理院の電子国土Webシステムから配信されたものを利用

染井入落は、泉揚水機場のすぐ近くにあります。
その手賀沼に近い部分は、柏市の染井入新田 と 泉村新田の間を流れています。

左は手賀沼 右奥に見える建物は泉揚水機場


手賀沼沿いの道路は 自転車・歩行者専用道路


この道には自動車が来ないので、安心して歩けます
道路の奥に盛り上がって見えるところに 染井入橋があります


余った農業用水を染井入落に排水しているポンプ場

このポンプ場には、名称を書いたものが見当たらなかったので、千葉県手賀沼土地改良区の事務所でおききしました。
「沼南中央排水機場」というのだそうです。
農業用排水機場であり、田んぼの水位が上がったときに 染井入落に排水を行うようです。
染井入落の拡幅により、ここのポンプに頼る必要が あまりなくなったため、 以前と比べると 稼働する機会が ずっと減っているとのことです。


染井入落 左奥が上流


染井入橋 橋の下部に 名前が書かれたプレートが付いています


染井入橋は、橋の両端に その名を書いたプレートが付いていません
正式名称は「染井入橋」 「日の出橋」は通称です


染井入橋の上から見た染井入落
上流に向かってみたところ


染井入落は 河口付近で拡げられており、その幅は10mほどあります


染井入落の近くから見た手賀沼 対岸は我孫子市 


付 記 2018.09.01

『沼南風土記』(昭和56年(1981))の P.21には、「(六) 手賀・風早両村名のいわれ」として、旧手賀村について 以下のように書かれています。

手賀村が誕生したのは、明治22年(1889)のことです。

すなわち、南相馬郡の 泉 ・ 若白毛 ・ 岩井・ 鷲野谷 ・ 金山 ・ 柳戸 ・ 片山 ・ 手賀 ・ 布瀬(の各村)、 印旛郡の 染井入新田 ・ 鷲野谷新田 ・ 岩井村新田 ・ 泉村新田 ・ 布瀬村新田 ・ 手賀村新田 ・ 片山村新田 を合併して、手賀村が設置されました。

上記の新田の中で、親村(新田開発を請け負った村)の名前を冠していないのは 染井入新田だけです。
「染井村」とか「染井入村」といった村も存在しませんでした。

赤松宗旦『利根川図志』〔安政5年(1858)発刊〕 より
地名に付された「・」は 「新田」の意味です
(上が北になるように 180°回転してあります)

一方、『東葛飾郡誌』(大正12年(1923))の「後巻  町村誌」 の「手賀村誌」 P.2418には、以下のように書かれています

本村は、布瀬フゼ、手賀、片山、柳戸ヤナド、泉、金山カナヤマ若白毛ワカシラガ、岩井、鷲野谷、染井入新田 の 10 大字より成り、・・・

『東葛飾郡誌』を見ると、染井入新田は、他の新田とは扱いが異なり、大字のひとつに数えられています。
新田の中でも、染井入新田は 開発の時期が早かったため、それに伴い人家も早くに建てられたのではないでしょうか?
染井入落の上流寄りに位置する染井入新田には、いまも人家があります。
その辺りの染井入落対岸(柏市・泉)が、泉村新田ではなく、かつての泉村親村であるというのも興味深いことです。