2018年8月24日金曜日

本の紹介 その2 「縄文展」 図録 ・ 『雑草手帳』

(1) 『縄文-1万年の美の鼓動』展 〔「縄文展」〕 図録


東京国立博物館では、『縄文-1万年の美の鼓動』展 を開催中。
会期は、2018年7月3日~9月2日。
草創期から晩期まで 全縄文時代をとおした遺物が展示されています。

見にいった折に、展示物について詳しく知りたいことがあったので、図録を買って帰りました。
大きさは、ほぼA4判大で、全304ページ。

『縄文-1万年の美の鼓動』展 図録の表紙

上の画像の表紙ですが、土器やタイトル文字の部分は 印刷の上に加工がされており、触るとザラザラしていて、立体感を味わえます。

この図録は、縄文時代全てを含んでいるので、リファレンスとしても重宝しそうです。
縄文時代を細分する場合、その年代決定や命名の仕方について、以前とは変わってきているようです。
本書の「年表」を見て、縄文時代の区分を調べてみました。
(縄文時代の前の時代は 旧石器時代であり、日本列島では3万5千年前の遺跡や遺物が発見されているようです。)

BC 11,000年~  縄文時代 草創期
BC  7,000年~   〃   早期 
BC  4,000年~   〃   前期
BC  3,000年~   〃   中期
BC  2,000年~   〃   後期
BC  1,000年~   〃   晩期

BC    400年~  弥生時代

縄文時代は、〈BC11,000年~BC400年〉の、約1万年の期間であり、6つの期に区分されています。
「11、 7、4、3、2、1」という千年ごとの数列は憶えやすそうです。
(この数列は、「11、7」と素数が続いて、その後は「4、3、2、1」と減っていきます。)
そして、弥生時代の始まりの〈BC400年〉を憶えておけば、縄文時代6期の年代区分はできます。


鎌ケ谷市内では、郷土資料館で 初富地区の埋蔵文化財展を行っています。
展示を見て 様々な発見があることと思います。
この機会に ぜひ、足を運んでみてください。

➜  郷土資料館 初富地区の埋蔵文化財展



(2) 『雑草手帳』


「縄文展」を見た帰りに、行きつけの本屋で『雑草手帳』という本を手にしました。
図鑑と読み物を一冊にしたような本でした。
気に入って、すぐに購入しました。

『雑草手帳』(2018 東京書籍) 表紙


「ワイド判」とありますが、これに先立ち新書サイズを一回り小さくしたサイズ(9.4cm × 15.6cm)で出ていたようです。
この「ワイド判」は、A5判の横をやや細くしたサイズ(13.0cm × 21.2cm)です。
全256ページ。
本文の文字が大きいので、読むのがとても楽です。
岩波文庫のワイド判と同じだと思いました。

この本の表紙もちょっと変わっています。
カバーが2枚かけられているのです。
まず、本の大きさに合わせた緑色のカバー。
その上には、「雑草手帳」というタイトルが出るように 上部がカットされたカバーが かけられています。

著者は、自称「みちくさ研究家」の静岡大教授・稲垣栄洋氏。
豊富な経験と学識に裏付けられた楽しい読み物となっています。
植物の写真は、カメラマンや編集者と一緒に「雑草」を求めて撮りためたもののようです。

100種の植物の写真と、その種に関する「雑学」が見開きで載っています。
その内訳は、

・ 「道ばたの雑草」 30種
・ 「空き地の雑草」 15種
・ 「公園の雑草」  39種
・ 「線路際の雑草」 16種

この区分は便宜的なもので、「線路際の雑草」に載っている「雑草」も、道ばた等で見ることができます。

巻末には「雑草の雑学」として20のコラム記事が付け加えられており、「雑草」とよばれている植物について深く知ることができます。

「雑草」というのは植物学的な分類ではない。 雑草は「望まれないところに生える植物である」と定義されている。

じつは雑草は他の植物との競争に弱い。 そのため、雑草は強い植物が生えることのできないような場所を選んで生える。 そこが、草取りがされる畑や、よく踏まれる道ばたなど過酷な環境なのである。

雑草は田んぼや畑など人間が作り出す環境に適応し、進化を遂げていったのである。 今や雑草は、人間なしには生きられない存在である。

雑草は人間と生活を同じくする身近な植物である。 雑草さえ生きていけないほど私たちの暮らしが急激に変化しているということは、何かを警告しているのかもしれない。

最後に引用した言葉に深く頷かされました。 (➜  以前の記事