残念なことに、現在、どちらも絶版となっていますが、古書で容易に入手できます。
(1)
はじめに、長田武正氏の『野草の自然史-植物分類へのみちしるべ』。
長田武正『野草の自然史』(1979 講談社) 表紙 写真は ツユクサ |
「第二章 野草の博物誌(または自然史)」として95種の植物が取り上げられ、詳しく解説されています。
読んでいて、とても楽しい本です。
挿絵のほとんどは、飯沼慾斎の『草木図説』からのものです。
先達の素晴らしい業績を知ってもらうために、長田氏は あえて慾斎の著書から多くの図を転載したようです。
慾斎の生前には、『草木図説』前半の〈草部〉20巻のみが、安政3年(1856)から文久2年(1862)にかけて出版されています。
〈木部〉が出版されたのは、慾斎の死後110年以上経った昭和52年(1977)昭和52年(1977)のことだそうです。
なお、長田氏の同書は、著者が亡くなった翌年(2003)に、講談社学術文庫から『野草の自然誌-植物分類へのみちしるべ』として再刊されています。
再刊時に、「自然史」を「自然誌」にあらためています。
(2)
次に大場秀章氏の『道端植物園』。
大場秀章『道端植物園』(2002 平凡社) 表紙 |
道端で見かける26種の植物を取り上げ、たっぷりと解説しています。
この本においても、飯沼慾斎ほか多くの先達が残した様々な図鑑から植物画が転載されています。
豊富な学識から、シーボルトや牧野富太郎について話が及んでいきます。
以下の3冊で取り上げている植物を抜き出してみました。
Ⓑ 長田武正 『野草の自然史』 (全95種)
Ⓒ 大場秀章 『道端植物園』 (全26種)
すると、3冊に共通する植物が7種ありました。
それらは以下のものです (アイウエオ順)。
・ スミレ
・ タケニグサ
・ ツユクサ
・ ドクダミ
・ ハコベ
・ ヨモギ
また、2冊に共通する植物は24種ありました。
これらについては、今回、その詳細を省きます。