2018年7月24日火曜日

本の紹介 その1 『手賀、印西を歩く』 ・ 『マンダラと生きる』

最近、よい本を2冊手に入れたので ご紹介します。


(1) 『手賀、印西を歩く』


崙書房出版より今年(2018)の6月に発刊されたものです。
新書判、168ページ。
定価は1000円(税別)。

入手に当たっては、 崙書房出版 に電話で注文し、同社出版の他の本と一緒に送ってもらいました。

佐々木 寛『手賀、印西を歩く』 表紙
表紙の写真は 多聞院(印西市・松崎まつざき)で撮影とのこと

著者の 佐々木 ゆたか 氏は、手賀地域(柏市)と印西市域を実際に歩いて、全17コースにまとめています。
その内訳は、「手賀を歩く」 7コース、「印西を歩く」 10コース。

詳細なコースマップが載っているだけではなく、実際に歩くときの便宜を考えて コースのポイントが具体的に記述されています。

また、訪問先の紹介も 通り一遍ではなく、歴史や民俗について詳しく説明されています。

各コースの末尾には、「参考タイム」として所要時間がポイントごとに細かく載っています。
「問い合わせ先」も掲載されており、下調べのときに役立ちます。

全編を通じ、無駄のない、きりっとした文章です。
各コースを読み始めると、いつの間にか そのコースを読み終わっています。

地域の案内書としても優れた本だと思いました。


(2) 『マンダラと生きる』


Eテレの「こころの時代」で曼荼羅について取り上げています。
6回のシリーズであり、2018年 4月から9月にかけての 月1回ずつの放送です。
たまたま第3回を見た後、行きつけの本屋で このテキストを見つけました。

NHKテキスト 『マンダラと生きる』 表紙
表紙の絵は 胎蔵曼荼羅の中心部分 大日如来と四仏・四菩薩

著者の 正木 晃 氏 は、宗教学が専門。
特に密教が その研究領域。

このテキストにおいては、曼荼羅について、様々な側面から詳しく解説されています。
曼荼羅についての恰好な入門書だといえます。

曼荼羅は、《両界》曼荼羅として、〈胎蔵界〉曼荼羅 と 〈金剛界〉曼荼羅 の両者が一対として取り上げられることが多く、大日如来像にも 双方の像容があります。

しかし、このテキストでは、前者は「胎蔵マンダラ」と書かれ、「界」の字が付いていません。
〈どうしてなんだろう〉と思いました。
テキストを読み進むうちに、何故なのかが分かってきました。


追 記 2018.07.28

二様ある曼荼羅の一方を 「胎蔵」曼荼羅という場合には、《両界》曼荼羅 を『両部』曼荼羅とよぶようです。

曼荼羅の五智如来(五仏)は、五智にそれぞれ対応しています。
四智に、「法界体性智」が加わったものが五智です。

金剛界曼荼羅 (成身会じょうしんえ)の五智如来胎蔵曼荼羅(中台八葉院ちゅうだいはちよういん)の五智如来

(種字の読み方は、児玉義隆『梵字必携』(1991 朱鷺書房)に拠りました)


また、これらは真言(マントラ)とも深い関係があるようです。


2018年7月21日土曜日

散歩で見たもの (2018年 7月下旬) キョウチクトウの花

(1)


夕方、アブラゼミの幼虫が 地面の上で逆さまになって、もがいていました。
土の中から這い出た直後だったのかもしれません。

近くの木につかまらせると、どんどん上にのぼっていき、その姿は見えなくなりました。

アブラゼミ(油蝉) カメムシ目 セミ科

翌朝、幼虫につかまらせた木の近くに 抜け殻が落ちていました。
無事に羽化できたようです。

(2018.07.21 撮影)


(2)


例年以上の熱暑が続いています。
今日の気温は、昼の2時で36℃です。
暑いです。
でも、植物は元気です。
庭の「雑草」も元気です。
暑くて草むしりをする気になりません。


上の写真の植物は、メヒシバ(雌日芝)(イネ科 メヒシバ属)か ニワホコリ(庭埃)(イネ科 スズメガヤ属)だと思います。
いずれ、花穂が出れば分かるでしょう。

ニワホコリという名の由来は、「庭によく生え、細かい花穂が埃を被ったように見えるから」だそうです。

Wikipedia の「ニワホコリ」の項には、近似種のスズメノカタビラ(イネ科 イチゴツナギ属)に関連して書かれている部分があります。

縁は近くないが 似ているものに スズメノカタビラ がある。
別属のものであるから 分類上の重要な点で違いがあり、外見的には より柔らかく 全体に黄緑色であること、より湿った場所に生育することなど 異なった点も多いが、外見的特徴は とても似た点が多い。
小穂に関しても、いずれも多数の小花を持つイネ科によくある形なので、よく似ている。

実際には 両者が同じ場所で見られることもよくあり、特に裸地の庭では普通である。
そのような場所では 生育が十分でない例が多い。
しかも それでも育って花をつけるのが雑草の雑草たる所以であり、しかも この両者とも筋金入りの雑草であるから、条件の悪い場所でも いじけた姿ながら よく生育して花をつけている。
その結果、両種の特徴が紛らわしい例があるのである。


後段の記述は秀抜で、「雑草」の特徴を こんなにうまく書き表した例を知りません。

いずれ花穂を付けるので、そのときに この植物の名前が分かるでしょう。

(2018.07.23 撮影)


追 記 2018.08.30

上記の植物に花穂が付きました。

メヒシバ(雌日芝) イネ科 メヒシバ属

みなメヒシバだったようです。

この追記 おわり


(3)


中沢向原貯留池の周りに植えられているキョウチクトウが、隣り合っている向原公園の方へと フェンス越しに枝をのばしていました。

キョウチクトウ(夾竹桃) 1 キョウチクトウ科 キョウチクトウ属


キョウチクトウ 2 花の基部は筒状です


キョウチクトウ 3 花弁はプロペラに似た形をしています


キョウチクトウ 4 花弁の内側に見えるものは副花冠

副花冠は、花冠や雄しべの一部が変形してできたものです。
副花冠の内側にある よじった糸の束のように見えるものは 雄しべの付属体です。

キョウチクトウの花の構造については、以下の記事が参考になります。

➜  杉並の自然学 キョウチクトウ

➜  日本植物生理学会 キョウチクトウの受粉


なお、蛇足ですが、トケイソウの副花冠も、とても特徴的なものです。

参 考 トケイソウ トケイソウ科 トケイソウ属
(2016.07.20 撮影)

(2018.07.25 撮影)


2018年7月14日土曜日

2018.07.21 郷土資料館 初富展 〈前期〉

郷土資料館の第19回ミニ展示として、以下の展示が行われます。

 「地区の歴史と文化財 ➆ 〈前期〉

      初富地区の埋蔵文化財 ~ 鎌ケ谷の歴史の始まり ~」

 展示期間  7月21日(土) ~ 9月30日(日)


「広報かまがや」に本展の趣旨が簡潔に書かれていました。

「広報かまがや」 2018年7月15日号 4面より


初富展 〈前期〉の案内チラシ


「鎌ケ谷市郷土資料館だより」の最新号に、初富展 〈前期〉 について詳しく書かれていました。
「郷土資料館だより」の冒頭の写真(下に掲載)を見て、チラシの背景となっている発掘現場の写真は「東林跡遺跡」で撮られたものだと分かりました。


「鎌ケ谷市郷土資料館だより」 第44号 P.1


「鎌ケ谷市郷土資料館だより」 第44号 P.2



追 記 2017.07.24

ギャラリトーク1回目の日の様子です。









この追記 おわり



なお、〈後期〉として 以下の展示が予定されています。

「地区の歴史と文化財 ➆  -初富-〈後期〉

             ~近代初富の歴史と民俗~」

 初富開墾開始150周年企画として、小金中野牧を開墾して誕生した初富の成り立ちと、明治・犬正・昭和の変遷を語る史料や人びとの信仰を示す民俗資料が展示されます。

 また、あわせて昔の初富の景観や行事を撮影した写真パネルが展示されます。

 ■ 展示期間 (予定)
 2019年3月16日(土) ~ 5月26日(日)


(「鎌ケ谷市郷土資料館だより」 第43号より)


2018年7月11日水曜日

散歩で見たもの (2018年 7月中旬) マンリョウの花

(1)


庭のマンリョウに花が咲きました。
3株ありますが、これらは どれも、ヒヨドリが種を蒔いていったものです。

昨年、いちばん大きな株に花が咲き、白い実が生りました。
この株は、「白実の万両」だったようです。
今年は、小さな2株にも花が咲きました。
この2株の実は何色でしょう。
楽しみです。

マンリョウ(万両) 1 ヤブコウジ科 ヤブコウジ属

マンリョウの花は下向きに開きます。
実も下向きに付きます。

花は、花冠に雄しべを付けたまま、雄しべを下にして落花します。

マンリョウ 2 ほとんど元の形のままで落花します

落ちた花の背面を見ると、雌しべと子房が抜けたあとに 丸く穴が空いていることが分かります。

雌しべ ・ 子房 ・ 萼は、元の位置(花柄の先)に残っています。

マンリョウ 3 落花後に残った雌しべ他 (中央・下)

この落花の仕方は、同属のヤブコウジと全く同じです。
以下をご参照ください。

➜  鎌ケ谷で見られる木本(7) ヤブコウジ


(2)


近所を歩いていて見た植物です。

ヤブミョウガ(藪茗荷) ツユクサ科 ヤブミョウガ属


ヤブカンゾウ(薮甘草) ススキノキ科 キスゲ亜科 ワスレグサ属


ムラサキナツフジ(紫夏藤) マメ科 ナツフジ属

(2018.07.11 撮影)


(3)


庭のナンテンの木についていたアオバハゴロモです。
淡緑色の翅をした成虫になる直前の姿です。

アオバハゴロモ(青羽羽衣) 
カメムシ目 ヨコバイ亜目 アオバハゴロモ科

(2018.07.14 撮影)


2018年7月5日木曜日

散歩で見たもの (2018年 7月上旬) アカシデ

散策会の下見のときに見た植物です。

(1)


中沢貝塚遺跡の近くを通りかかると、イヌザクラの木があり、実が付いていました。

イヌザクラ(犬桜) 小さな実です(左下)
バラ科 ウワミズザクラ属


(2)


貝柄山公園の「野馬の親子像」近くにあるアカシデの木には、いくつも果穂 か すいが下がっていました。
シデの仲間は、花穂 か すいや果穂の形が 神社で目にする「紙垂」(しで)に似ていることから、「〇〇シデ」と名前が付けられています。

アカシデ(赤四手、赤垂) 1 特徴的な果穂
カバノキ科 クマシデ属

アカシデのほかには、イヌシデやクマシデの名が よく知られています。
これらは、葉の大きさや形、果穂の果苞の形等が違っているので、容易に見分けることができます。

アカシデ 2 葉と果穂


アカシデ 3 左: 葉の表 右: 葉の裏


アカシデ 4 果穂の果苞は3裂し、縁に粗い鋸歯があります

果苞は薄く、触るとパリパリとした感じがします。



(3)


貝柄山公園の桜の木に、紐のようなものがたくさん付いていました。
触るとフニャフニャしています。

この紐のようなものは 何でしょうか?


わが昆虫の先生 A・Sさんが教えてくださいました。


貝柄山公園で見た錆びた釘のようなものは、「ヒモミノガ」(紐蓑蛾)の幼虫がいる袋(蓑)です。
ヒモミノガは、本来 南西日本の生き物ですが、最近はこちらでもよく見かけるようになったそうです。
名前のとおりミノムシの一種(蛾)で、幼虫はキノコや地衣類を食べているようです。


触ったときに、細長い袋が空っぽであるような感じがしたのですが、動いているものもありました。
幼虫は袋の先の方にいるようです。

まだ、学名が決まっていないそうです。

ネットに情報が載っていたので、以下にアドレスを2つコピーします。
http://misumon.blog.fc2.com/blog-entry-487.html
(個人のブログ)

https://www.chiba-muse.or.jp/NATURAL/special/yama/news/2016/160115psychidae.htm
(千葉県立中央博物館のサイトの一つ)


何とミノムシの一種とは
紐蓑蛾」とは、よくぞ名付けたものです。
A・Sさん、今回も詳しくお教えくださり、ありがとうございました。



(4)


住宅地には、空き地が ほとんど見られなくなり、多くの野草が姿を消しました。
代わりに、道路に面した花壇に 様々な園芸植物が植えられるようになりました。
下の写真の植物は、それらの一例です。

コンボルブルス・サバティウス(学 Convolvulus sabatius) 1
ヒルガオ科 コンボルブルス属


コンボルブルス・サバティウス 2
ヒルガオの花にそっくりです (ずっと小さいですが)


(5)


富岡二丁目ふれあいの森にクチナシの木があり、花の良い香りがしました。

クチナシ(梔子、巵子) アカネ科 クチナシ属

クチナシの果実は特徴的な形をしています。
実が大きくなったら、その写真を撮りたいと思っています。


(6)


囃子水公園に隣り合っている「囃子清水七面堂」のフェンスにヤマノイモに似た植物が花を咲かせていました。
オニドコロでした。

オニドコロ(鬼野老) 別名 トコロ(野老)
ヤマノイモ科 ヤマノイモ属
雌雄異株 この個体は雄株

『大辞林』によると、「根茎は太く ひげ根を多数出し、これを老人のひげに見たて「野老」の字をあてる」のだそうです。
このオニドコロは ヤマノイモ属ですが、根茎は苦く、アルカロイドを含むため、食用には適さないそうです。
雌雄異株。
上の写真の個体は、雄花が付いているので雄株です。

なお、「アルカロイド」とは、植物に含まれる〈塩基性の有機化合物〉であり、毒性や生理・薬理作用をもつものが多いといいます。
アルカロイドと名の付くものの多くは有毒だと思っていいでしょう。

なお、タバコのニコチンや 茶のカフェイン、ケシのモルヒネなども アルカロイドです。
ナス科の植物の多くが、ソラニンというアルカロイドを含んでいます。

近くの路上にはスギの球果が落ちていました。

スギ(杉)  球果 ヒノキ科 スギ属



2018年7月1日日曜日

2018.07.14 粟野八坂神社の祭礼 (鎌ケ谷市・粟野)

3年に一度めぐってくる粟野の八坂神社の祭礼。

「広報かまがや」に、当日の交通規制区画が載っていました。
この区画は、とりもなおさず御神輿が練り歩くコースです。

「広報かまがや」 2018年7月1日号 6面より


高々と持ち上げられた御神輿 (3年前の祭礼時に撮影)

御神輿のほかに 山車も出て、にぎやかです。

道路沿いにある氏子のお宅の前では、スイカやトウモロコシなどが振る舞われます。
そして暗くなると、各戸の門柱には 「地口行灯」の明かりが灯ります。

地口行灯 「くつもみす(簾)も一所」

3年前の様子は、以下をご覧ください。

➜  鎌ケ谷の神社(6) 粟野八坂神社の祭礼・地口行灯



追 記 2018.07.15

昨日、粟野八坂神社の祭礼がありました。
その様子です。

粟野八坂神社 鳥居前


鳥居の左手には 寄付張り出しがありました


御神輿と山車



御神輿の屋根に 左三つ巴紋が見えます


御神輿は、ときどきぐるりと方向転換していました



高く持ち上げられた御神輿


旧家の門前 左に地口行灯、正面に提灯


地口行灯 どれも 3年前のもの と同じでした

上の行灯に書かれている 「とかく 縁日 植木 根無し草」 という文句が 何の駄洒落であるのかは、いまだに分かりません。
この地口行灯の上には、切った竹の枝が置かれています。


粟野十字路のそばにある 玉子屋商店さん


船取線の路傍に出ていた看板