毎年、5月1日から5日にかけての5日間は、東葛・印旛大師講の送り大師巡拝が行われます。
送り大師とは、厨子に入った弘法大師像を一人が背負い、そのあとを巡礼たちがついていき、札所から次の札所へと順に送っていくことをいいます。
年ごとに決まる結願の寺から 5月1日に出発し、八十八ヶ所の霊場(札所)を巡拝して、5月5日には結願の寺に戻り 結願式を行います。
巡拝の間、鎌ケ谷にある大師堂には、横に幟が立てられるところがあります。
軽井沢自治会館の隣にある大師堂には 幟が立てられていました。
軽井沢は、5月3日が送り大師の宿泊地だったようです。
第16番札所 軽井沢の御堂 |
5月4日の朝早くには、次の札所である粟野の大師堂に向けて出発。
その粟野青年館の横にある大師堂にも 幟が立てられていました。
第10番札所 粟野の千寿堂 |
大師堂の近くの空き地が、送り大師巡拝のための駐車場として確保されており、その張り紙がはられていました。
近年では、バスを仕立てて移動する地区大師組合が多いのです。
他にも札所2カ所と掛所に行ってみましたが、いつもと同じで幟は立てられていませんでした。
結願の日、5月5日となったので、今年の結願の寺、柏市増尾地区の萬福寺にでかけていきました。
萬福寺は、結願を行うのにふさわしい立派なお寺でした。
萬福寺における結願式のようす 参加者は千人を超えていたでしょう |
萬福寺には 二つの札所が置かれていて、大師堂が二つあります。
大師堂は並んで建っていて、左が53番、右が67番です。
第53番札所 柏市増尾・萬福寺の大師堂 1 |
第67番札所 柏市増尾・萬福寺の大師堂 2 |
とてもよく似た形の大師堂です。
53番の大師堂には 次の扁額が懸かっていたので 見分けられました。
本家 四国八十八ヶ所の第53番は 円明寺 |
円明寺オリジナルの御詠歌が、そのまま書かれています。
「来迎の 弥陀の光の 円明寺 照りそう影は 夜な夜なの月」
奇を衒わない素直な書きっぷりです。
67番の大師堂の扁額は、文字が薄れてしまっていて全く読み取れませんでした。
石造物と違って、こうしたものの保存の難しさを感じます。
写真やビデオに収めておかなければ、いまは読めるものであっても いずれはわからなくなってしまいます。
結願式に先だって、11時から11時半ごろにかけて「お練り込み」(練り供養)が行われました。
増尾ふるさと会館から万福寺までの間、数百人の行列がゆっくりと進みました。
露払いの音、法螺貝の響き、鈴(れい)の澄んだ音色。そして詠唱の声。
詠唱は、「なーあむ だーあいし へーんじょう こーんごう」と節をつけられて唱えられます。
一人が大きな声で唱えた後、同じ言葉をみんなで唱えます。
そして、これをずっと繰り返します。
いまでも頭の中で、あの声が聞こえてきます。
2013.07.21 追 記
先ほどNHK総合で「冨士講」(富士講)に関する番組を見ていたら、「鈴」をリンではなく、レイと言っていました。ネットで調べても、レイと呼んでいるようです。
そこで、上の記述を「リン」から「鈴(れい)」に訂正しました。
この追記 おわり
お練り行列が露払いを先頭にして進みます |
法螺貝はかなりの音量 「吹螺師」と書かれたリボンを付けていました |
役員、稚児(70人)、幟、僧侶、先達、大師像、一般と 延々と続きます |
「南無大師遍照金剛」と詠唱しながら萬福寺へ |
結願式における 結願成就記念の御柱 除幕 |
頭陀袋にある「同行二人」とは、いつも御大師様が一緒にいるという意味 「どうぎょう ににん」と読みます |
来年の結願の寺は、柏市塚崎の寿量院だとのことです。
塚崎地区の世話人の方が、寿量院は狭くて駐車場がないので、船取線の反対側にある塚崎運動場に駐車していただくことになるだろうと、参加者全体にお話しされていました。
また、柏市では 大師講に関する展示を9月から12月にかけて行う予定であるとアナウンスがありました。
開催期間から推して考えると、柏市郷土資料展示室の企画展でしょう。
いまから楽しみです。
2013.11.12 追 記
以下は「送り大師」展の案内チラシです。
「送り大師」展の案内チラシ 2013年9月配布 |
この「送り大師」展については、以下の記事でふれています。
上記の企画展では、幸運なことに 今年の送り大師の順路手引が入手できました。
コースや「泊り」、「中食」(ちゅうじき : 昼食のこと)の場所などがわかる順路手引です。
平成25年 「東葛飾印旛貮郡 組合大師靈場 順路手引」 |