2016年8月18日木曜日

鎌ケ谷で見られる木本(14) サルスベリ

簡単な説明


● 和名   サルスベリ(猿滑)

● 別名   百日紅ひゃくじつこう

● 学名   Lagerstroemia indica

Lagerstroemia (属名)

東インド会社に勤務し、収集した植物をリンネに提供していたスウェーデン人の貿易商である ラーゲルストレム(Magnus von Lagerström) の名前にちなんでいる

属名の由来等に関して、誤った内容の情報がネット上に拡散しており、注意が必要 (特に「Lagerström」の「ö」を代用表記する際に「Lagestroum」と誤記したものが目立つが、属名にあるように「Lagestroem」と表記するのが正しい)

indica (種小名)

インドの (東インド諸島や中国原産の植物にも用いる)
本種は 中国原産の落葉小高木である
江戸時代初期に本邦に渡来した

● 分類   バラ類 フトモモ目 ミソハギ科 サルスベリ属

● 真性双子葉類

● 木本

● 花    円錐花序 花期: 7~10月 花については本記事で詳述

● 葉    通常は2対互生(葉が2枚ずつ交互につくコクサギ型葉序)
      対生することもある
      丸みのある卵形で、葉先がくぼむ葉も多い

● 幹    幹の樹皮がまだらに剥がれて スベスベになるので、猿も滑り
      そうだというのが和名の由来
      枝や幹は曲がって伸びる

● 高さ 3~9 m

● 特徴など  花期がとても長く、次々に花を咲かせるため「百日紅」の別
      名がある


外部参考サイト

➜ Wikipedia サルスベリ




全体の形


サルスベリ(百日紅ひゃくじつこう) ミソハギ科 サルスベリ属
(2015.07.29 撮影)


幹の形態


サルスベリの幹(木肌) (2016.08.26 撮影)


葉の形態



コクサギ型葉序(2対互生)の葉 A (2016.09.07 撮影)


コクサギ型葉序(2対互生)の葉 B (2016.08.31 撮影)
この個体では、葉の出ている向きが 1枚1枚異なっています


異なる葉序の葉 (2016.08.26 撮影)
この個体は、互生と対生が交じっており、コクサギ型葉序ではありません


花の形態


サルスベリの花 (2016.08.07 撮影)

サルスベリの花は、実に不思議な形をしています。

咲く直前の蕾 (2016.08.13 撮影)

写真を見て分かるように、蕾は6個の縫線をもつ萼に収まっています。

開ききっていない萼の裂け目から 花弁が出ています (2014.08.20 撮影)

萼は6裂し、その裂け目からは 細長い付け根をした6つの花弁が出ます。

萼が星形に開いています (2016.08.11 撮影)

花軸から離れてついている花弁は、フリルのように縮れています。

花には 多くの雄しべがあります  (2016.08.07 撮影)

サルスベリの花には、中央に黄色い葯をもった小さな40本前後の雄しべがあり、その周りにも花糸の長い6本の雄しべが出ています。

雄しべには 2種類あります (2016.08.07 撮影)

花の中央に多数ある雄しべの葯の花粉は 不稔性であり(生殖能力がない)、花糸の長い方の6本の雄しべだけが稔性をもっています。

不稔性の雄しべは花粉を運ぶハチなどを誘い、その餌になります。
葯が食べられるとき、稔性のある長い雄しべの花粉がハチなどに付着し、花粉が運ばれます。
実に見事な仕組みです。
このことを 植物に詳しい方から ずっと前に聞いたとき、とても驚いたものです。

花の色は、赤、桃紫色、紫色、白などです。

シロバナサルスベリ(白花百日紅) 白花でも 百日「紅」
(2015.07.21 撮影)