2019年4月8日月曜日

私の好きな作曲家(4) ブラームス


ブラームス(Johannes Brahms:1833〜1897)は優れたメロディー・メーカーだった。
彼が終生バックアップし続け、〈その ごみ箱を漁れば交響曲の一曲ぐらいは書ける〉と言わしめた後輩のドヴォルザーク(1841〜1904)にだって負けていないぞ。

そして、完全主義者だった。
未完成遺稿などという つまらないものは、後世に残さなかった。
気に食わぬものは、みな燃やしてしまった。

交響曲だって、全部でたったの4曲。
しかも、それら全てが素晴らしい。
十分ではないか。

これら4つの交響曲は、各季節に当てはめることができると思う。


第1番(1876) 冬  ・・・  厳しくゴツゴツとしている
第2番(1877) 春  ・・・  伸びやかで、とても明るく活気に溢れている
第3番(1883) 夏  ・・・  第1楽章冒頭の部分を 門馬直衛は〈大きな月がのっと昇るように始まる〉と見事に表現した
第4番(1885) 秋  ・・・  しみじみとした晩秋を想わせ、ロマンチックだ

https://www.youtube.com/watch?v=TLlRlGo4xwg

ブラームスは、私にとって もっとも聞く機会が多い作曲家である。
一曲選べと言われれば、最晩年の作品119『4つの小品』(1892)の第1曲を挙げたい。
少ない音で寂びさびと綴られており、心をわしづかみにされる。

晩年を迎えたブラームスは、ミュールフェルトという優れたクラリネット奏者と出会い、一連の室内楽の名曲を作曲した。
このことが、ブラームスをもう一度ピアノへと立ち帰らせる契機になったのではなかろうか。
ブラームスは、作曲家であるとともに、自身が優れたピアニストだったのだ。

私の好きな作曲家(3) ドビュッシー


ドビュッシー(Claude Achille Debussy:1862〜1918)のピアノ曲の多くは、その仲間たちやラヴェルらによって管弦楽用に編曲されており、それぞれに素晴らしい。
しかし、ドビュッシー本人にとっては、ピアノの中で完結していたのではないか。

ピアノといえば、みなショパンを想い起こすだろう。
その独創性は圧倒的であり、他の追随を許さない。
このショパンの作品を指遣いに至るまで綿密に研究したのがドビュッシーである。
ショパンのピアノ曲の校訂書も出版している。

ドビュッシーのピアノ曲は、出版までに時間が掛かっているものが多いが、細かな部分まで磨きあげ、完成をめざしていたからではないかと思われる。


実に名曲ぞろいであり、『ベルガマスク組曲』(1890)などは、何度聴いても聞き飽きない。

なかで一曲選べといえば、『前奏曲集第1巻』(1910)の第6曲「雪の上の足跡」だ。
シンプルで最小限の音で構成されている。
研ぎ澄まされている。
これに比肩できるのは「ヴェーベルンの作品だけだ」と言った人がいるが、蓋し、名言である。


2019年4月7日日曜日

私の好きな作曲家(2) プーランク


プーランク(Francis Poulenc:1899〜1963)は、晩年に独奏木管楽器とピアノのためのソナタをまとめて作曲した。
フルート・ソナタ(1957)、クラリネット・ソナタ(1962)、オーボエ・ソナタ(1962)である。

中でも、オーボエ・ソナタは、その深さでプーランク自身や他の作曲家たちが作曲した管楽器のソナタを凌駕している。

この作品に聞かれる寂寥感は、他に聞くことのできないものだ。
友人 プロコフィエフの追憶に向けて作曲されたものであったが、プーランク自身がこの作品を書き上げたのちに亡くなっており、事実上の遺作となった。
最終楽章(第3楽章)は 「Déploration」(挽歌)と名付けられている。
作曲者自身への「挽歌」となった。

この曲に太刀打ちできる管楽器のソナタは、ブラームスが その最晩年に作曲した2曲のクラリネット・ソナタ〔 第1番(1894)・ 第2番(1894)〕しかないのではないか。


また、プーランクはカトリックの信者として、ア・カペラの宗教曲を数多く作曲している。
『クリスマスのための4つのモテット』(1952)も混声無伴奏の曲。
上の動画はオランダの Middelburgs Kamerkoor(室内合唱団) によるもの。
澄んだ響きがとても美しい。

この曲の中で 4曲目「Hodie Christus natus est」(今日、キリストが生まれた)は、いちど聞くと忘れられない。
2曲目「Quem vidistis pastores dicite」(羊飼いたちよ、汝らが見たものを語れ)も素晴らしい。
ぜひ、これらを一度でも聞いていただけると嬉しい。


私の好きな作曲家(1) イベール


イベール(Jacques Ibert:1890〜1962)の音楽は、どうしてあんなに明るいのだろう。
聞いていて、心が晴れ晴れとする。

私の大好きな曲は、『ハープ独奏のための6つの小品』(1917)だ。
その中でも2番目の「スケルツェット」がいい。
この曲はピアノ独奏用の版もあるが、やはりハープの方がずっと聞き映えがする。
イベールの娘さんはハープを弾いたという。


『木管五重奏のための三つの小品』(1930)も素晴らしい。
鎌フィルのメンバーが演奏会のときに、ラウンジで楽しそうに この曲で音合わせをしていたことを思い出す。

機智に富んで明晰な曲調は、いかにもフランスらしい。
木管楽器と曲調がよく合っている。
ここには、フランスには生まれたが、ドイツ語圏では決して生まれることのなかった明澄な響きがある。


2019年3月31日日曜日

杜甫の七言古詩から 「哀江頭」


杜甫の七言古詩からの一篇 「哀江頭」を掲載する。

七言古詩は、漢詩の詩体の一つであり、一句が七言から成る。
句数に制限はなく、韻律・平仄も比較的自由である。
発達したのは初唐以後。

本詩は、内容的に 4句 + 8句 + 8句 に分かつことができるので、3分割して掲載する。


哀江頭

あいこうとう

 

江頭に哀しむ





・少陵の野老
杜甫の先祖は長安南郊少陵の出であり、杜甫は杜少陵とも呼ばれる。

・曲江
陝西省西安市(旧・長安)の東南にあった池の名。 曲江池ともいう。 漢の武帝が宜春苑をつくり、水の流れが「之」の字形に曲がっていたことから名づけた。 唐代には科挙(官吏登用試験)の合格者をここに招き宴を賜った。

・江頭
曲江のほとり。

・細柳新蒲
柳はヤナギ、蒲はガマ。 どちらの植物も春になると川沿いに細長い葉を茂らせる。





・霓旌(げいせい)
羽毛を五色に染めて綴った天子の儀仗の旗。

・南苑
唐代、長安の宮殿の南にあった庭。

・昭陽殿
漢の武帝がたてた宮殿の名であり、宮廷の女を住まわせた。 「昭陽殿裏第一の人」とは 玄宗の寵姫である楊貴妃のこと。

・輦(れん)
輿(こし)。 人が引く車。 手車。 また、特に、天子の乗る手引き車。

・才人
才能や知恵・人徳のすぐれた人。 「才子」に同じ。

・弓箭
弓と矢。





・明眸皓歯(めいぼうこうし)
美しく澄んだひとみと歯ならびのきれいな白い歯。 美人の形容。 この よく知られた言葉は、当詩が出どころである。

・遊魂
肉体を離れてさまよう魂。 「游魂」に同じ。

・渭水(いすい)
陝西省中部の黄河最大の支流。 渭河(いが)ともいう。 甘粛省南部の鳥鼠山から発し、東流して陝西省宝鶏に入り、西安、臨潼などを経て潼関県で黄河と合流する。

・剣閣
長安から蜀に入る道にある大剣山・小剣山の二つの山の要害。 閣道(かけはし)がかけられていることから。

・臆(むね)
いろいろな思いでつかえた心。 心の奥。

・霑す(うるおす)
ひたひたと一面にぬれる。

・江水江花
川のほとりに咲く花。

・黄昏
夕方。 たそがれ。

・胡騎
匈奴・突厥などの騎兵。


2019年3月15日金曜日

2019 春の〈牧ウマ〉まつり

今年も「春の牧ウマまつり」が開催されます。
文化・スポーツ課の担当の方におききしたら、このイベントの名前は「春の/牧ウマ/まつり」と、「牧ウマ」の部分はつなげて読むのだそうです。
「牧ウマ」は、「(中野)牧の馬」という意味合いのようです。
これまで ずっと「春の牧 / ウマまつり」と、分けて読むものだと思っていました。

概要は、以下のチラシをご覧ください。

「春の牧ウマまつり」のチラシ


「広報かまがや」に記事が大きく掲載されていました。

「広報かまがや」 2019.03.15号 8面より

これらのイベントの中では、特に「とっこめバスツアー」がお勧めです。
申し込みは、  3月25日(月) の 17:00まで  となっていますので、ご注意ください。


最初のイベントである「とっこめ桜まつり」については、以下のポスターをご覧ください。

「とっこめ桜まつり」のポスター


また、きらりホールで行われる「とっこめ寄席」については、以下のチラシをご覧ください。

「とっこめ寄席」のチラシ

この「とっこめ寄席」の入場料は、前売りで 2,000円、 当日入場で 2,500円となっていますが、 市からの補助があって、この金額になっています。
開催するためには、入場者一人当たりに換算すると、実際には 5,000円程度の費用が かかっているようです。


なお、「春の牧ウマまつり」 の詳細については、以下をご参照ください。

➜ 鎌ケ谷市 春の牧ウマまつり 国史跡でまちおこし

2019年3月2日土曜日

2019.03.06〜15 植物細密画「万葉植物の世界」展 (環境課主催)

東部学習センターの1階ギャラリーで、ボタニカル・アート(植物の細密画)展が開かれます。
今回は 「万葉植物の世界」と題し、万葉集の歌に詠まれた植物を取り上げるようです。

素晴らしい カラーの細密画 が ご覧になれます。
ぜひ、足をお運びください、

「広報かまがや」 2019.03.01号より


上の歌にルビを振ってみました。

  婦負めひの野の すすき押しべ 降る雪に
       宿やど今日けふし 悲しく思ほゆ

                 (高市連黒人たけちのむらじくろひと
                

歌の詳細は、以下をご参照ください。

➜ 万葉歌僻読 婦負の野のすすき押しなべ降る雪に



追 記 2019.03.10

展示を見にいってきました。

展示の様子 14点の植物細密画が展示されていました


細密画の横には、『万葉集』の歌が添えられていました


環境課による展示についての説明書き


ススキの細密画 根が見事に描かれています