ドビュッシー(Claude Achille Debussy:1862〜1918)のピアノ曲の多くは、その
仲間たちや
ラヴェルらによって管弦楽用に編曲されており、それぞれに素晴らしい。
しかし、ドビュッシー本人にとっては、ピアノの中で完結していたのではないか。
ピアノといえば、みなショパンを想い起こすだろう。
その独創性は圧倒的であり、他の追随を許さない。
このショパンの作品を指遣いに至るまで綿密に研究したのがドビュッシーである。
ショパンのピアノ曲の校訂書も出版している。
ドビュッシーのピアノ曲は、出版までに時間が掛かっているものが多いが、細かな部分まで磨きあげ、完成をめざしていたからではないかと思われる。
実に名曲ぞろいであり、
『ベルガマスク組曲』(1890)などは、何度聴いても聞き飽きない。
なかで一曲選べといえば、『前奏曲集第1巻』(1910)の
第6曲「雪の上の足跡」だ。
シンプルで最小限の音で構成されている。
研ぎ澄まされている。
これに比肩できるのは「ヴェーベルンの作品だけだ」と言った人がいるが、蓋し、名言である。