2017年1月1日日曜日


謹 賀 新 年  2017

ダイサギ(大鷺) 鎌ケ谷市・大津川にて撮影


今年はとり年。
そこで、「とり」の漢字についてのお話。


「鳥」


チョウ(テウ)  とり

まず「鳥」という漢字ですが、元々は「尾の垂れ下がった鳥」を意味したそうです。
後に広く「とり」の総称として用いられるようになったとのこと。

「鳥」は象形文字です。
時代を追って、以下のように字形が変化しました。



「隹」


スイ  とり

「とり」に相当する漢字には、「隹」という文字もあります。
尾の短い「とり」の総称で、「ずんぐりと太い」という意を含むそうです。

この「隹」は、「雀」(すずめ) ・ 「隼」(はやぶさ) ・ 「雉」(きじ) などの文字の一部に含まれています。
後には、「鳥」とともに、広く「とり」を意味するようになったとのこと。

「隹」も象形文字です。

 

この「隹」ですが、なぜ「ふるとり」とよばれるのでしょうか。

白川静『常用字解』(2006 平凡社)には、「旧 (舊)」という文字について、以下のように書かれています。


「旧  (舊)」


キュウ(キウ)  ひさしい ・ ふるい

 
もとの字は「舊」に作り、「かん」と「きゅう」とを組み合わせた形。
「萑」はフクロウ科のみみずく。
「臼」はうすではなく、鳥を捕らえるための ざる形の道具(下記に載せた字形の推移のうち、金文を参照)
これにみみずくの足をからませて飛び去ることができないようにして捕らえることを「舊」という。
みみずくは昼は目が見えにくいので、足をからめて捕りやすいのだろう。
みみずくが足をとられて動くことができなくなって留まるので、「ひさしい(時間がたつ)」という意味になり、長時間たって「ふるい」の意味となる。
きゅう」と音・意味の近い字である。

ふるい」という文字の元の形には 「とり」の字が含まれていたのですね。
漢字で書くと「ふるとり」といったところでしょうか。

「舊」は会意文字です。
字形の推移は以下のとおりです。

 

「酉」


ユウ(イウ)  とり

最後に「酉」の字です。

十二支の10番目を指します。
時刻では午後6時(18時)及びその前後の2時間を指します (「子」が午前0時)
方角では「西」を指します。

この「西」という字は、鳥の栖(す)の形から来ているようです。
『常用字解』には、「木の上に巣があり、巣の中に雛がいて、その首が三つ並んでみえる形が巣である。田の部分が西の形にあたる」と書かれています。
「西」を方位の意味に用いるのは、その音を借りる仮借の用法だそうです。

「酉」は、動物ではにわとりに当てられます。
一説では、一般庶民が憶えやすいようにと十二支のそれぞれに動物が当てられたといいます。

旧暦八月の異称でもあります。

これも象形文字で、口の細い酒つぼを描いたものが元になっています。
「酒」に関する字の意符として用いられます (「酒」の字の中には「酉」が含まれています)。