知りたい植物が載っている本が手にできたときには嬉しいものです。
(1) 『散歩の草花図鑑』
岩槻秀明『散歩の草花図鑑』(2017 大和書房) |
全272ページ、フルカラー、縦組み。
身近な草花が、季節ごとに 計249種 取り上げられています。
季節ごとの内訳は以下のとおり。
春 94種
夏 96種
秋 51種
冬 8 種
また、個々の植物についての説明は通り一遍ではなく、楽しい読みものになっています。
科名が載っていますが、旧分類とAPG分類体系の双方が併記されているのが特徴です。
オオイヌノフグリやアマドコロなど、その分類が変わっている場合には、すぐに気がつきます。
大方の分類は変わっていないのですが、それが明記されているので、確認するときに便利です。
いずれはAPG分類体系が普通になる日が来ることでしょう。
学名がゴシック体の通常書体で載っており、斜字体 ではありません。
このことについては、のちほどふれます。
(2) 『散歩で見かける野の花・野草』
金田 一『散歩で見かける野の花・野草』 (2013 日本文芸社) |
全412ページ、フルカラー、横組み。
近所で見かける野草を 計396種 取り上げています。
その内訳は、以下のとおりです。
春 133種
夏 167種
秋/冬 96種
各ページの下端には、その植物の名前の由来が記されています。
奥付のページを読むと、この図鑑の執筆に当たって ご両親の協力を得たことが分かります。
科名が載っており、その分類は旧分類が用いられています。
旧分類には、新エングラー体系やクロンキスト体系がありますが、もう そのどちらであるのかを明記する必要はなさそうです。
分類については、 現在のところ APG Ⅲ を用いるのが最適でしょう。
APG分類体系以前に用いられていた分類法は、 「旧分類」として一括してしまってよいと思います。
この図鑑にも 学名がゴシック体の通常書体で載っています。
学名は 斜字体 で書かれることが多いのですが、本文の字体と違う字体が用いられ、そして統一されていればよいそうです。
学名の書体は、必ず斜字体(イタリック体)である必要はないということです。
欧文と違い、日本語の文字と学名の文字との混同は起きづらいうえ、図鑑では書かれる位置も決まっているので、通常の書体で なんら問題がないのだと思います。
なお、学名は 「属名 + 種小名」からなるので、科の分類が変わっても、その影響を受けません。
二名法による学名(binomen)の優れた特徴だといえます。