2016年7月6日水曜日

「花序」について

「花序」について調べてみました。

しかし、様々な説明がされていて、なかなか一筋縄では理解できません。
いろいろと読んだ中では、『日本大百科全書(ニッポニカ)』が比較的分かりやすい方だと思いました。

執筆者は、福田泰二氏です。
氏は、武蔵中・高から東大に進み、千葉大の園芸学部の教授を経て、母校の校長をされたという方です。

➜  コトバンク 花序 日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

この解説は、A4判に直して3ページほどの分量があり、息の長い文章として書かれているため、要点がすぐにはつかめません。

そこで、ノートをとりながら、以下のように箇条書き風に整理してみました。


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0 花 序

・花 序  複数の花が集団をなしているもの。
・花序型  花序における花の配列様式。一般には単に「花序」ともよぶ。

・単頂花序 チューリップのように茎の先端に1個の花をつけただけの、花序をなさないものも花序型の一種とみたときの呼称。

・花序は、 単花序複花序に分けられる。


1 単花序

・単花序は、花の主軸から出た小花柄に花がつく。
・(1)総穂花序 と (2)集散花序に大別できる。

(1) 総穂花序

単一の軸から出た複数の枝に花がついている
・求頂花序である 軸の基部に近い花から順に咲く
・求心花序である 上から見たときの花のつき方の呼称
・無限花序である 軸の頂端に花をつけない

➊総状花序

 ・花軸から出た個々の花に柄がある
  (フジ、ヤナギランなど)

➋穂状花序

 ・花軸から出た個々の花に柄がない
  (オオバコなど)

 ➋’ 肉穂花序

  ・穂状花序のうち軸が肉太のもの
  (ミズバショウなど)

➌散房花序

 ・ すべての花がほぼ一つの面上に並ぶ
  (コデマリなど)

➍散形花序

 ・軸の先端から柄のある花が放射状に出ている
  (ウドなど)

➎頭状花序

 ・軸の先端に柄のない花が集合している
  (タンポポなど)

花序 1 単花序(総穂花序)
『日本大百科全書』(小学館)より引用


(2) 集散花序

・軸の頂端が花となって その軸の成長が止まり、側枝の頂端が次の花となるということを反復する
・求基花序である 次々下方から花が出る
・遠心花序である 上から見たときの花のつき方の呼称
・有限花序である 頂端が花となる

➊単出集散花序 (単散花序)

 ・互生の葉序と関係が深い
 ・次々と2つに分枝していく

  ➀扇形花序  2回目以降の分枝がつねに向軸側に出る
   (ゴクラクチョウカなど)

  ➁鎌形花序  2回目以降の分枝がつねに背軸側に出る
   (モウセンゴケなど)

  ➂かたつむり状花序  右または左の一定方向に側生する
   (ニッコウキスゲなど)

  ➃さそり状花序  左右交互に側生する
   (ワスレナグサなど)

➋二出集散花序 (岐散花序)

 ・対生の葉序と関係が深い
 ・分岐の方向は毎回90°変わるのが普通である
 ・この花序は、➀輪散花序と➁団散花序を含む
  (マユミなど)

➌多出集散花序 (多散花序)

 ・輪生の葉序と関係が深い
  (トウダイグサなど)

花序 2 単花序(集散花序)
『日本大百科全書』(小学館)より引用


2 複花序

・花序型が2回以上重複している花序

➊複数形花序

・同一形式で反復したもの
 (シシウドなど)

➋円錐花序  

・多数の花が集まって全体としてほぼ円錐形をなしたものの総称
 (ヤブキショウマなど)

花序 3  複花序
『日本大百科全書』(小学館)より引用


3 特定の植物群だけに固有な花序

➊杯状花序 (壺状花序)

 ・雌しべ1本からなる雌花1個と、雄しべ1本からなる雄花数個が壺状の器の中にあるもの
 (ポインセチアなど)

➋隠頭花序

 ・多肉となった壺形の器の内壁に微小な花が多数ついている
 (イチジクなど)

➌尾状花序

 ・花被(萼+花冠)がないか または目立たない雄花が集合して、細長い形をしており、通常は下垂する穂になったもの
 (イヌシデなど)

花序 4 特定の植物群に固有な花序
『日本大百科全書』(小学館)より引用