囃子清水七面堂の鳥居近くまで延びる野馬土手跡 (右手前方) |
囃子清水七面堂は 囃子水公園に隣接している神社です。
江戸時代以前には、同じ道野辺にある日蓮宗の寺院 妙蓮寺が、当神社の別当寺となっていました。
現在でも 両寺社のつながりは保たれています。
囃子清水七面堂の鳥居へと連なる野馬土手(勢子土手)跡には、カジイチゴの木(落葉低木)があり、毎年 特徴のある大きな葉を見せてくれます。
カジイチゴ(梶苺) バラ科 キイチゴ属 |
「カジイチゴ」という名前は、この特徴的な葉が カジノキ(クワ科 コウゾ属) に似ていることに由来しています。
また、両者は 属や科が違い 果実の形も異なりますが、橙色の甘い実は どちらも生のまま食べることができます。
左: カジイチゴの果実 右上: カジノキの葉 右下: カジノキの果実 |
カジノキの画像は 以下のサイトから引用させていただきました
実 ➜ 東京花景色 カジノキ
なお、和紙の原料として用いられている コウゾ は、この カジノキ と ヒメコウゾ の雑種なのだそうです。
これら3種の植物(コウゾ、カジノキ、ヒメコウゾ)は、すべて クワ科 コウゾ属 です。
いまでは、その道も崩れてしまったため 通行禁止となっています。
囃子清水七面堂の境内から囃子水公園へと続いていた坂道 いまは通行止め |
囃子水公園 草ぼうぼうですが、公園緑地課が定期的に刈っています |
白い花を段々に付けた 特徴のある植物が見えました。
この植物はなに? 1 |
はじめは、「シロバナダンギク」だと思いました。
ところが、あとで調べてみると、雄しべや雌しべの形が違っていました。
この植物はなに? 2 |
困ったときの〈かみだのみ〉で、例により M・Eさんにきいてみることにしました。
写真を見ると、ダンギクなら見られるはずの 鋸歯の深い切れ込みがないそうです。
よって、この植物は「ダンギク」ではなく、「ハッカ」と思われるとのこと。
ニホンハッカ(日本薄荷) 近接撮影 シソ科 ハッカ属(Mentha属、ミント属) |
あらためて 「ニホンハッカ 花」で Google 画像検索 してみました。
また、葉の特徴も似ていますので、この植物は「ニホンハッカ」に間違いないでしょう。
囃子水公園で いちばん賑やかに咲いていたのはミソハギです。
ミソハギ(禊萩) 1 ミソハギ科 ミソハギ属 |
サルスベリの木も同じミソハギ科です。
花期が同じで、どちらも いまが花盛り。
ミソハギ 2 |
ミソハギの花は ごく短い花柄の先に 5~8mm の
ミソハギ 3 近接撮影 |
センニンソウも、十文字の形をした白い花を咲かせていました。
センニンソウ(仙人草) 1 キンポウゲ科 センニンソウ属(Clematis属) |
クレマチス や テッセン も センニンソウ属(クレマチス属)です。
センニンソウ 2 |
キンポウゲ科の植物は虫媒花であり、 クレマチス属の植物以外にも、以下のような 園芸植物 や 野草 が属しています。
キンポウゲ科に属す植物は アルカロイドを含む有毒植物であることが多く、「キンポウゲ科は 有毒植物の宝庫」などとよばれたりします。
センニンソウ 3 近接撮影 |
囃子水公園には藤棚があり、春には 美しい花房 が見られます。
フジ(藤) 1 マメ科 フジ属 参 考 春の藤棚と花房 |
春には花房があった場所に、いまは「豆」がブラ下がっています。
フジ 2 |
路傍の赤いショウジョウソウが目をひきました。
コンクリート等で舗装された道路端に よく見られるのは、もともと分布していた場所と環境が似ているからでしょう。
ショウジョウソウ(猩猩草) トウダイグサ科 トウダイグサ属(Euphorbia属) 別 名 サマーポインセチア |
花を構成している〈花葉〉のうち,いちばん外側にあるのが 〈萼〉。
そのさらに外側(下)に位置しているのが 〈苞葉〉(包葉)です。
そして、内側(上)の方には 〈花冠〉(〈花弁〉)があります。
ショウジョウソウは杯状花序であり、〈裸花葉〉に相当する萼や花冠はありません。
この〈裸花葉〉に相当する 萼と花冠 を 「花被」 ともいいます。
萼や花冠を
ショウジョウソウは 裸花であり、そして無花被花です。
萼の1枚が〈萼片〉であり、花冠の1枚が〈花弁〉です。
帰りぎわに、再び 囃子清水七面堂の鳥居近くの野馬土手前にさしかかると、リンゴのような紅い大きな果実が生っているのが見えました。
紅い大きな実は 何の果実? |
実の周囲に見える 艶々した厚手の葉っぱ は、ツバキ(ツバキ科 ツバキ属)のもの。
センニンソウの花や ツバキの実に気付かせてくれ、 ニホンハッカについて教えてくれた M・Eさん、 ありがとうね。