2019年8月27日火曜日

囃子水の植物 (2019年 8月下旬)


囃子清水七面堂の鳥居近くまで延びる野馬土手跡 (右手前方)

囃子清水七面堂は 囃子水公園に隣接している神社です。
江戸時代以前には、同じ道野辺にある日蓮宗の寺院 妙蓮寺が、当神社の別当寺となっていました。
現在でも 両寺社のつながりは保たれています。

囃子清水七面堂の鳥居へと連なる野馬土手(勢子土手)跡には、カジイチゴの木(落葉低木)があり、毎年 特徴のある大きな葉を見せてくれます。

カジイチゴ(梶苺) バラ科 キイチゴ属

「カジイチゴ」という名前は、この特徴的な葉が カジノキ(クワ科 コウゾ属) に似ていることに由来しています。

また、両者は 属や科が違い 果実の形も異なりますが、橙色の甘い実は どちらも生のまま食べることができます。

左: カジイチゴの果実          右上: カジノキの葉
                      右下: カジノキの果実

  カジノキの画像は 以下のサイトから引用させていただきました

    葉 ➜ 庭木図鑑 植木ペディア > カジノキ
     ➜ 東京花景色 カジノキ

なお、和紙の原料として用いられている コウゾ は、この カジノキ と ヒメコウゾ の雑種なのだそうです。
これら3種の植物(コウゾ、カジノキ、ヒメコウゾ)は、すべて クワ科 コウゾ属 です。


かつては、神社の境内から囃子水公園へと下りていくことができました。
いまでは、その道も崩れてしまったため 通行禁止となっています。

囃子清水七面堂の境内から囃子水公園へと続いていた坂道 いまは通行止め


いったん道路の方に出て、道路に面して設けられている鉄の扉を開け、囃子水公園に向かって階段を下りていきました。

囃子水公園 草ぼうぼうですが、公園緑地課が定期的に刈っています

白い花を段々に付けた 特徴のある植物が見えました。

この植物はなに? 1

はじめは、「シロバナダンギク」だと思いました。
ところが、あとで調べてみると、雄しべや雌しべの形が違っていました。

この植物はなに? 2

困ったときの〈かみだのみ〉で、例により M・Eさんにきいてみることにしました。

写真を見ると、ダンギクなら見られるはずの 鋸歯の深い切れ込みがないそうです。
よって、この植物は「ダンギク」ではなく、「ハッカ」と思われるとのこと。

ニホンハッカ(日本薄荷) 近接撮影
シソ科 ハッカ属(Mentha属、ミント属)

あらためて  「ニホンハッカ 花」で Google 画像検索 してみました。

「ニホンハッカ」は 雌しべが雄しべよりも長く突き出ていて、その柱頭が2裂している点が特徴的です。
また、葉の特徴も似ていますので、この植物は「ニホンハッカ」に間違いないでしょう。

M・Eさん、今回も早速のご教授、ありがとうございました。


囃子水公園で いちばん賑やかに咲いていたのはミソハギです。

ミソハギ(禊萩) 1 ミソハギ科 ミソハギ属

サルスベリの木も同じミソハギ科です。
花期が同じで、どちらも いまが花盛り。

ミソハギ 2

ミソハギの花は ごく短い花柄の先に 5~8mm の 萼筒がくとう があり、その上端にマゼンタピンク色をした6枚の花弁が付いています。

ミソハギ 3 近接撮影


センニンソウも、十文字の形をした白い花を咲かせていました。

センニンソウ(仙人草) 1  キンポウゲ科 センニンソウ属(Clematis属)

クレマチス や テッセン も センニンソウ属(クレマチス属)です。

センニンソウ 2

キンポウゲ科の植物は虫媒花であり、 クレマチス属の植物以外にも、以下のような 園芸植物野草 が属しています。

  花の美しい 園芸植物  

ラナンキュラス(ハナキンポウゲ)アネモネシュウメイギクヒメリュウキンカオダマキチドリソウ(ヒエンソウ)デルフィニウム(オオヒエンソウ)クリスマスローズフクジュソウ など

  多様な 野草  

トリカブト ウマノアシガタ(キンポウゲ)キツネノボタンイチリンソウハンショウヅルイヌショウマセリバヒエンソウ など

 キンポウゲ科に属す植物は アルカロイドを含む有毒植物であることが多く、「キンポウゲ科は 有毒植物の宝庫」などとよばれたりします。

 これらの花々が美しいのと 有毒植物であることとは、関係がありそうです (虫に食われない等します)

センニンソウ 3 近接撮影


囃子水公園には藤棚があり、春には 美しい花房 が見られます。

次の写真は、藤棚を春に撮影したものです。

フジ(藤) 1 マメ科 フジ属  参 考   春の藤棚と花房

春には花房があった場所に、いまは「豆」がブラ下がっています。

フジは マメ科の植物なのです。

フジ 2


路傍の赤いショウジョウソウが目をひきました。

もともとは 北アメリカ南部原産で、海岸の石灰岩地などに分布する一年草です。
コンクリート等で舗装された道路端に よく見られるのは、もともと分布していた場所と環境が似ているからでしょう。

(杯状花序)の周辺にある5〜8枚の苞葉の基部は鮮やかな紅色です。

ショウジョウソウ(猩猩草) トウダイグサ科 トウダイグサ属(Euphorbia属)
別 名  サマーポインセチア

花を構成している〈花葉〉のうち,いちばん外側にあるのが 〈萼〉
そのさらに外側(下)に位置しているのが 葉〉(包葉)です。
そして、内側(上)の方には 花冠(〈花弁〉)があります。

生殖のうえからは付属的器官とみなされる 萼や花冠〈裸花葉〉といい、 生殖に直接的に関与する 雄しべ・雌しべ〈実花葉〉といいます。
ショウジョウソウは杯状花序であり、〈裸花葉〉に相当する萼や花冠はありません。

この〈裸花葉〉に相当する 萼と花冠 を 「花被」 ともいいます。
萼や花冠をまとっていない花(〈裸花〉)は、別名「無花被花むかひか」や「無被花」ともいわれます。
ショウジョウソウは 裸花であり、そして無花被花です。

  萼1枚は萼片とよび花びら1枚は花弁とよびます。 
  萼の1枚萼片であり、花冠の1枚花弁です。


帰りぎわに、再び 囃子清水七面堂の鳥居近くの野馬土手前にさしかかると、リンゴのような紅い大きな果実が生っているのが見えました。

紅い大きな実は 何の果実?

実の周囲に見える 艶々した厚手の葉っぱ は、ツバキ(ツバキ科 ツバキ属)のもの。

大きな丸い実は、椿の実なのでした。

センニンソウの花や ツバキの実に気付かせてくれ、 ニホンハッカについて教えてくれた M・Eさん、 ありがとうね。

囃子水での楽しいひとときを ともに過ごせてよかったです。