2019年4月14日日曜日

私の好きな作曲家(15) リゲティ


リゲティ・ジェルジュ・シャーンドル(Ligeti György Sándor:1923〜2006)は、20世紀後半を代表する作曲家である。
「リゲティ」という姓は、ハンガリー語では〔日本語同様に〕姓名の先頭に記される。

スタンリー・クーブリック(DVD などでは、出演した発言者の多くが「キューブリック」ではなく、「クーブリック」と発音している)の名作『2001年 宇宙の旅』(1968)に その作品が使われたことにより、リゲティの名は世界中に広まった。

トーン・クラスター技法が有名であり、一時期は この技法を用いた曲が多く作られた。
『ロンターノ』(Lontano:1967)、チェロ協奏曲(1969)などが その代表的な作品である。

トーン・クラスター技法では分厚い音の集積が特徴だが、同時期にチェンバロのための 『コンティヌウム』(Continuum 持続:1968)を作曲している。
チェンバロは撥弦楽器なので、その音は発せられた瞬間から減衰していく。
それを、あたかも音が「持続」しているように聞かせている。
とても皮肉な曲名で、リゲティらしい。

リゲティの作品は、始めから終わりまで高い緊張が維持されるのが特徴である。
それ故に、聞いたあとには 大きな充足感が感じられる。

晩年には、ピアノやヴァイオリンやホルンの協奏曲を書いている。
ヴァイオリン協奏曲(1992)では、珍しいことにオカリナが使用されており、重要な役割が与えられている。
初めて聞いたときには、「この楽器は何なのだろう」と不思議に思った。


ショスタコーヴィチ同様、リゲティには お気に入りのフレーズがある。
リゲティのフレーズは滑稽味を感じさせるエネルギッシュな音型である。

手持ちの CD では、以下の曲で同様なフレーズが確認できた。
  ・6 Bagatelles for wind quintet : I. Allegro con spirito(1953)
  ・Musica ricercata : III. Allegro con spirito(1953)
  ・Eight Pieces from "Musica Ricercata" for Accordion : II. Allegro con spirito(1953)

これらのフレーズには、どんな意味が込められていたのだろう。
ショスタコーヴィチやリゲティに訊いてみたかったことである。