2019年4月11日木曜日

私の好きな作曲家(9) ストラヴィンスキー


音楽には、人を明るい気持ちへといざなっていくものと、暗く沈んだ気持ちに寄り添い ひたすらやさしく慰藉し続けるものとがあるように思う。

ストラヴィンスキー(Igor Stravinsky:1882〜1971)の音楽は大方の場合、明るくて精力的である。
聞いているだけで元気になる。

ストラヴィンスキーは長い生涯に亘り、〈カメレオン〉と揶揄されるように、その作風を変えながら作曲を続けた。
いま思うと、そのこと自体が とても立派なことだったのではないか。

ストラヴィンスキーには、『ペトルーシュカ』(1911)、『春の祭典』(1913)、『兵士の物語』(1918)『詩篇交響曲』(1930) 等々、 名だたる名曲がずらりとある。
そして、これらは私の気に入っている作品群でもある。

ストラヴィンスキーには、器楽曲だけではなく、声楽曲にも愉しい作品がいっぱいある。
『4つのロシアの農民の歌』(1917)や『4つの歌』(1954)などだ。
ロシア語など分からなくともよい。
ただただ、聞いて面白い。
だまされたと思って 一度聞いてみていただけると嬉しい。


器楽曲で特に好きな作品は『ペトルーシュカ』である。
とても楽しい曲だ。
1911年に作曲されたが、版権を維持するため 1947 年に改訂版を出版している 。

この曲を特徴づけているのは、4つある各部の間に演奏される小太鼓だが、その打ち方が指揮者によって随分と違う。
ブーレーズがクリーブランド管弦楽団を振ったもの(1911年版)では、一定したリズムで乾いた打音が続き、ペトルーシュカが人形であることを想い起こさせる。
作曲者の自作自演によるもの(1947年版)は、ブーレーズの演奏とは異なった打ち方がなされている。
ただし、この小太鼓の打ち方の違いが、版によるものかどうなのかは確認できていない。