2019年4月16日火曜日

私の好きな作曲家(19) マーラー


マーラー(Gustav Mahler:1860〜1911)の交響曲は、その演奏においては、マーラー → ワルター → バーンスタインと、ユダヤ人の間でバトンが渡されてきたものが もっとも正統なものといえるであろう。

マーラーの長大な交響曲は、近来のテクノロジーの進展があって、われわれ庶民に身近なものとなった。
そういう点では、ブルックナーも同じだ。


学生時代には、バーンスタインがウィーン・フィルを振った『大地の歌』(1908 作曲)の LP を何度も繰り返して聞いたものだ。
最近では すっかり この演奏を聞かなくなってしまった。
しかし、この演奏が これまで、自分の興味・関心に及ぼした影響の深さは計り知れない。

LP のレコードジャケットには、歌詞の元となったと思われる唐詩が載っていた。
これを何度ながめたことか。
私が 中国の詩全般に興味をもつきっかけになった。

最近では、小さな室内合奏用に編曲したものを聞くことが多い。
シェーンベルクが1920年に着手し、リーンが1983年に補筆・完成したものである。
YouTubeでは PSAPPHA ENSEMBLE 等の演奏を聴くことができる。
このイギリスの演奏団体の名前は、クセナキスの作品名から取られているようだ。



驚かされるのは、あの大編成オーケストラのための原曲に引けを取らない豊饒な響きである。
このことは、編曲者が この曲の微細に至る点まで熟知していたことを示している。
見事としか言いようがない。
弦のセクションだけを見ても、弦楽四重奏にコントラバスが加わった 各楽器1本ずつの弦楽五重奏という小さな編成である。
楽器は、これに木管五重奏とピアノ1名、ハーモニウウム1名、打楽器2名が加わっただけの編成である。
指揮者を除いて、独唱者2名を加えた演奏者の総数は 16名。
大したものだ。