2019年4月18日木曜日

私の好きな作曲家(23) メシアン


メシアン(Olivier Messiaen:1908〜1992)は第2次大戦後のフランスを代表する大作曲家であった。
鳥の鳴き声の採譜でも世界的によく知られている。

メシアンの作品を特徴づけるものは、色彩的な響きに満ちた圧倒的な生命力である。
『トゥーランガリラ交響曲』(1948)のオンド・マルトノの音色は、一度聞くと忘れられない。
全曲の中ほどに位置する第5曲「星の血の喜び」では、それが顕著に聞かれる。

このオンド・マルトノが、多くの作曲家により その作品で扱われているのはご存知のとおり。
オネゲルは『火刑台上のジャンヌ・ダルク』(1935 作曲)の冒頭で 夜に吠えるイヌの声として効果的に用い、さらには重要な最期の場面でも劇的効果を上げている。

楽器自体としては、メシアンの作品の方が印象に残るように思う。
メシアンの後妻となったイヴォンヌ・ロリオ=メシアンは ピアニスト。
その妹 ジャンヌ・ロリオは オンド・マルトノ奏者だった。
ともに、メシアンの作品に名演を残している。

メシアンは、その晩年に大作『彼方の閃光』(1992)を書き上げた。
その第6曲「7人の天使、7本のトランペット」において 金管楽器と打楽器とが反復されるが、その中で聞かれる ムチとティンパニの対比は、単純であるがゆえに 非常に効果的であり、深く耳に残る。


私は、この曲も NHK の FM放送を聞いて知った。
サイモン・ラトル指揮のベルリン・フィルによる演奏だった。

近年は、元の CD を探し当てて すぐに入手できる。
調べて入手してみると、EMI の録音であった。
なんと、EMI らしからぬ優秀な録音である。
EMI の「優秀録音」というのは珍しい。
私の愛聴盤になった。



最近になって「フランス EMI」のロゴが、昔懐かしき〈エラート〉のものに変えられた。
EMI に吸収される前の〈エラート〉独自の〈名録音〉も多いので、実に紛らわしくて迷惑な話だ。
こんなことにまで  ディスコグラフィーの知識が必要になったかと思うと情けない。

EMI の録音スタッフも以前とは変わったのだろうか。