2019年4月9日火曜日

私の好きな作曲家(5) デュティユー


デュティユー(Henri Dutilleux:1916〜2013)は、1943~1963の間、ラジオ放送のための作曲をしていたことがある。

英語版の Wikipedia には、
Dutilleux worked as Head of Music Production for French Radio from 1945 to 1963.
とある。

『波のまにまに』(Au gré des ondes:1946) は、その間に作曲された6曲の小曲からなるピアノ曲である。
聞いていて、とても快い音楽である。

それぞれの曲は、番組と番組の間に 随時、流されたものと思われる。
電波(番組)と電波(番組)の合い間に流されたことから、こう命名されたのだろう。

なお、メシアンの『トゥーランガリラ交響曲』で用いられている 古典的な電子楽器であるオンド・マルトノ (Ondes Martenot)の ondes にも「波」や「電波」の意味がある。


『波のまにまに』とほぼ同時期に作曲されたのが「ピアノ・ソナタ」(1948)である。
『波のまにまに』よりも格調が高く、現代的な響きがする。
ブ-レーズ(Pierre Boulez)の作品を紹介する DVD を見たときに、語りのバックにこの「ピアノ・ソナタ」が使われていた。
「あれ、なんでデュティユーなの?」と意外に思った。

100年後には、ブーレーズのような難しい作品は どのような形で残っているのだろう。