ドリーブ(Léo Delibes:1836〜1891)は優雅で繊細な曲を書いた。
そうした点、ブラームスの心友 ヨハン・シュトラウス2世(1825〜1899)と とてもよく似ている。
ドリーブの作品で もっとも有名なのは、機械人形を中心に据えたバレエ音楽『コッペリア』(1870)である。
第1幕冒頭の生き生きとした「前奏曲とマズルカ」がよく知られるが、それに続く「スワニルダのワルツ」の優美なこと、この上ない美しさだ。
コッペリアは自動人形の名前、スワニルダは生身の女性の名前である。
これまで書かれてきた音楽の中で、いちばん上質なものが ここにある。
最近は YouTube でも『コッペリア』のバレエ全曲が見ることができるようになった。
映像で見ると、音楽と振付の関係が分かって面白い。
上の YouTube の映像は、ボリショイ劇場における公演である。
なかでも、1時間10分35秒過ぎからの「時のワルツ」が、とても優美で見応えがある。
こうした音楽がどこでも見聞きできるようになったことを、この時代を生きる我々は喜ぶべきであろう。